12年前に私は自民党から参院選に出馬した。経済成長のため「規制改革」や「農協改革」を本気で志した。しかし、自民党は支持母体の方を向いた政策を続けている。備蓄米の95%をJA全農が落札し、国民に米が届かない政策がその象徴だ。
自民党は昨年の衆院選で惨敗して以降も変わる気配がない。ニッポン放送の番組で、保守派の論客、北村晴男弁護士と意見交換した。北村さんは次の参院選で「自民党は、消滅しかねない」と警告する。「石破茂首相になり、岩盤保守層と、手取りを増やす政策を期待する若年層、この2つの支持層を大きく失った。支持回復の唯一の道は、高市早苗前経済安全保障担当相を総裁にして、新しい自民党として再出発することだ」と提言する。
私と北村さんが、ともに不満を抱いたのは、ドナルド・トランプ大統領との関税交渉の姿勢だ。国難の局面、石破首相自ら、トランプ大統領に直接会いに行き、本気度を見せ、打開策を切り開くべきだ。北村さんは「トランプ大統領にびびりまくっている」と印象をのべていた。私も海外企業と交渉を重ねてきたが、逆転劇や奇跡のような結果は、トップ同士、腹をわった交渉でしか生まれない。
今月16日にワタミは41回目の創業記念日を迎え、パシフィコ横浜に全社員と取引先企業500名を集めて、創業記念祭を行った。昨年は日本サブウェイの買収もあり、最高の40周年となった。経営の組織論で大切なのは、企業はどこに向かっていくのかミッションを示すことだ。
独自の循環型6次産業「ワタミモデル」で、サブウェイ3000店舗や、1兆円企業を目指すと方向性を示した。創業の原点「つぼ八7カ条」を再確認し、何にこだわってきたのか、1200名の社員とあらためて共有し、ベクトルをそろえた。
一方の、自民党はいわば、「個人商店」が生き残るためにみんなで利用し合っているだけで、ベクトルがあちこち向いている。本来は国民の幸せでベクトルを合わせるべきだ。今の自民党の延長線上に改革はない。支持母体のための政策の作り方では、改革もできない。
議員時代、自民党の年功序列や、嫉妬の世界にも驚いた。次の首相候補をあげるなら、私は、知名度は高くないが阿達雅志元首相補佐官(参院議員)のような、元商社マンで、ニューヨーク州弁護士だった人に活躍して欲しい。トランプ大統領もスコット・ベッセント財務長官もビジネスマンだ。自民党的発想でなく、ビジネスマンの発想で、外交交渉や、規制改革を進める人物に未来を託したい。
大衆迎合で、財源の裏付けのない政策を掲げる野党より、自民党が変わることに期待したいが、一度解体や、政権から転落しないと、再生しないとも感じる。理念がなければ今日のワタミはなかったと断言できる。石破首相が掲げる「楽しい日本」。国民は、どれだけ共感しているのだろうか。